第20章 curse
「あっ!傑にラインするの忘れてた!」
「あ?」
レイはすぐさまスマホを取り出した。
「任務終わったら毎回すぐに傑に無事を伝えなきゃなんないんだよ!」
「はっ、どんだけ束縛男なんだあいつは。」
「違うよっ!心配してくれてるの!!」
もうっ、と怒ったように頬を膨らめながらスマホを操作する。
まだ夏油からは連絡が来ていないということは、こちらが先に終わったのだろうか。
必ず連絡すること!と言っている夏油は本気で自分のことを心配してくれているのだ。
「あっ、そーだ!せっかくだから3人で写真撮って送ろ〜♪」
そう言ってレイはクマと伊地知が声を出す間もなく引き寄せてスマホをかざした。
怯えているようなポカン顔の伊地知と、不機嫌そうなクマと、にっこり笑顔の自分の写メを、"無事終わったよ〜♡"というメッセージと共に添付した。
「記念に伊地知くんにも
コレ現像した写真あげるね!」
「あっ、ありがとうございます」
常に笑顔で、優しくて、全く穢れのない純粋そのものといった感じの彼女。
この笑顔を向けられると、自然と自分の中の穢れまで祓われていくような感覚がする。
そして、自分には何もできるはずはないのに、なぜだか彼女に対して何かをしてあげたくなってしまうような感覚…
彼女の周りの人たちも同じ感覚を味わっているのだろうか?