第20章 curse
3年生になってから、毎日本当に忙しい。
天災の影響もあって呪霊が増えたせいもあるし、各々の単独任務が多くなったせいもあって、皆が揃う機会がほぼ無くなった。
今日だってそうだ。
レイは先程ようやく任務から帰ってきたのだが、夏油も五条も硝子もクマも、誰もいない。
アルバムも作り終わってしまった。
けれど、こんなに最高の写真の数々は見ていて飽きるわけが無いし、もう一度アルバムを取り出そうと引き出しを開けた、その時…
「……ん?」
手を止めて耳を澄ませた。
やけにドアの向こうが騒がしい。
ドアを開けて廊下に出る。
声がする方へ向かった。
そして…
また残酷な現実に一気に引き戻された。
「………え?…どう…したの…?」
医務室のベッドに横たわっているボロボロの灰原雄。
そして、顔面蒼白にして息を切らしている、七海健斗。
今日はこの2人で組んで1つの任務へ行っていたはずだ。
「… レイさん……やられました…」
「……え?」
レイは瞬時に灰原に駆け寄った。
「早くっ早く硝子に連絡しないとっ!!」
そう言ってスマホを取り出した時、七海に止められた。
「…手遅れです……もう…死んでます…」
レイは目を見開いてまた灰原を見下ろした。
純粋無垢でいつも仔犬のようにキラキラしていた目は固く閉じられている。
「そ、んな……」
嘘だよ…こんなことって…
"レイさ〜ん!夏油さんどこいますか〜?"
そんないつもの明るい声が聞こえた気がした。
「れ、連絡、しなくちゃ…す、傑にっ……」
スマホを持つ手はガタガタと震えすぎていて、指が上手く滑らない。
「あ……あ……っ…」
ついにスマホを落としてしまった。
すると、七海がそれを拾い上げ、渡しながら言った。
「私が連絡します…座っていてください」
レイはみるみる息が苦しくなっていた。