第19章 torture
「面白くない上が、僕のいぬ間に特級を利用して、体よく悠仁を始末ってとこだろう。ほかの2人が死んでも、僕に嫌がらせができて一石二鳥とか思ってんじゃない?」
虎杖悠仁くんの遺体を前に、五条さんがウンザリ気味に言った。
「いや…しかし…派遣が決まった時点では、本当に特級に…」
「犯人探しも面倒だ。いっそのこと上の連中全員殺してしまおうか?」
五条さんの空気が一変して、その気迫の恐ろしさに息を飲んでいたら、白衣を着た硝子さんが現れた。
「珍しく感情的だなー。随分とお気に入りだったんだな、彼。」
「僕はいつだって生徒思いのナイスガイさっ。」
「あまり伊地知をいじめるな。私達と上の間で苦労してんだ。」
もっと言って!硝子さん!
そう心の中で言う。
「男の苦労なんて興味ねーっつの!」
「そ。…で、これが宿儺の器か…好きに解剖していいよね?」
「役立てろよ」
「役立てるよ。誰に言ってんの。」
私はやはり、責任を感じてしまっていた。
私にできることは結局今は、補助監督という立場。
かと言って、力不足にはなりたくない。
かつての先輩たち、そしてこれから活躍していく生徒たちの力に、少しでもならなければと思ってこの職に就いた。
しかし、今日、私は分からなくなっていた。