第19章 torture
伊地知潔高は、今、日記を広げていた。
そこに挟まっている一枚の写真。
ジッとその写真を見つめ、眉を顰める。
若かりし頃の自分の怯えたようなポカン顔と、不機嫌そうなテディベアー、そして満面の笑みの女性が写っている。
もう約十年前のものだ。
高専に新入生として入学して以降、いろいろなことに圧倒されまくり、思考の追いつかなかったあの日々…
律儀に毎日日記をつけることによって、頭の中を整理していた。
日記は読み返すためにつけるものではなく、
ただ単純に、自分のことを客観的に見たかったからつけているものだった。
たいした才能もあまりない、そんな自分を。
抱えきれないほどの思いを、自分なりに一生懸命に抱え続けた日々だった。
不安しか持たずに高専に入学した私は、戸惑い、そして恐怖していた。
入学当初抱いていた感情とは全く別の、想像を絶するような日々や出来事に、いつしか私は日記を書くことをやめていた。
それでも、あの頃の記憶は、どれも鮮明に覚えてしまっている。
そう、私が見てきたものは、どれもこれも異常だったのだ。
今日は、補助監督を担当していた高専1年の、伏黒恵くん、釘崎野薔薇さん、そして宿儺の器である虎杖悠仁くんを任務へ送り届けた。
そして、虎杖悠仁くんを死なせてしまった。
先程、五条さんと硝子さんとした会話はこうだ。