第18章 holy night■
少しだけ目を細めた夏油が色っぽすぎて、もう限界だった。
きっと顔が赤くなっているかもしれない。
「すっ、ぐる…」
「ん?」
「・・・ぶふっ!!!」
「……早いな…」
ついに照れ臭くて噴き出してしまったのに、早いなどと真顔で言われてしまった。
顔に手を当てて肩を震わせていると、その手を剥がされ顎を指で掬われた。
また真顔でジィっと見つめられ、ニヤケ顔が止まらなくなってしまう。
まさしくツボに入ってしまった。
「ふっ…ふっ…ぅ…くく…」
「人の顔がそんなに面白いか?」
「ふっ…ちがっ…くっ…ふふっ!」
「まだまだ見つめていたかったのになぁ…
まぁいっか…後でね…それからデコピンよりもすごいのを……」
そう耳元に口を寄せて囁かれ、笑いは止まってしまった。
「はいはい、終わったのー?なら早く言って!」
五条の一声でまたゲームが再開された。
次の王様はついに五条になったので一気に緊張感が走った。
何を言い出すかわからないからだ。
「…君はまさか六眼で王様引いたんじゃないだろうな?」
たまらず夏油がそう漏らす。
「はぁん?なわけねーだろ!今グラサンしてんじゃん!」
「・・・」
「じゃーねー、んーと…」
あからさまにニヤニヤしだす五条に、レイはごくりと生唾を飲み込んだ。
「…じゃーぁ、3番が……全員にチューされる!!
はい!3番だれ〜?!」
「ん?…おいら。…だ。」
全員が目を丸くしてクマの方を向く。
「んだよ!お前かよっ?!」
「おいらだっててめぇらに接吻なんかされたくねぇよ!!」
しかしレイは安堵していた。
なにしろ去年は王様特権で五条が夏油にキスをしたのだ。
「はいクマおいで!」
「っおい待て!!」
レイがクマを無理やり捕まえる。
五条はすかさずスマホのカメラをかざした。
やはりこの期は逃せないらしい。
硝子も夏油も五条も含め全員にキスをされる可愛いクマのぬいぐるみが切り取られた。