第18章 holy night■
「…ん…え?」
«よお、レイ?着替え終わったよね?早く来て!»
「え、もう?…んっゎ…」
口角を上げている夏油の指が下唇を下にずらしたので変な声が出てしまった。
«そ!みんな待ちくたびれてるよ?冥さんとかとくにキレてる»
「えぇっ!キレてるの?!…ふぁっ!…」
今度は彼の指が口内に差し込まれ、またおかしな息が出てしまった。
見上げると、夏油は冷徹な笑みを浮かべていて心臓が跳ね上がる。
«うん、だから早く。サンタがいねーとトナカイも動けねーしプレゼント配れないだろ?»
「…わあった…よ…ふぐ行ぐっ!」
«……?…何しちゃってるわけぇ?»
口内を掻き回す指はそのままに、夏油がバッとスマホを取った。
「よかったな悟。可愛いサンタさんの許しを得られて。今年は良い子にしていたんだね。」
«……お前なにし»
「いいじゃないか少しくらい独り占めさせてくれても」
«…まさかお前電話しなが»
「じゃあすぐに連れてくね。良い子の目じゃない目で見たら今度こそホントに六眼を潰すからな。覚悟しておけ。」
プツッー……
電話を切ってフッと笑みを浮かべ、目を細めて見つめてくる夏油がどことなく黒く見えてドキリとなる。
ようやく、クチュと口内から指が抜かれ、てらてらと光った指をペロリと舐めてから耳元に口を寄せられた。
「またあとで独り占めさせてくれるよね…?」
吐息と共にその囁きがこれでもかと言うほど甘く細胞まで揺さぶり、レイは火照る顔を隠すように片手で口を拭いながらこくこくと頷くことしか出来なかった。