第18章 holy night■
ここ数日間だけは祝日などを挟んで一応冬休みだ。
ひとまず何事もなく全員でクリスマスを迎えることができて誰もがホッとしていた。
五条の指示で、夏油が灰原にトナカイのコスプレを持っていくと、彼はまたいつもの仔犬のような顔で目を輝かせた。
「着ます着ます!!夏油さんが去年着ていたものですし、夏油さんの役目を引き継げるなんてめちゃくちゃ光栄ですよぉ〜!!嬉しいなあ!!」
こんなに良いように受け取ってくれてしかも喜んでくれるのは灰原だけだろう。
「七海のは無くて悪かったね」
夏油は冗談めかして笑って言った。
「あっても絶対に着ません。誰の指示であろうと。」
「クマ助の指示には従うのにかい?」
「そっそれは、私も飲みたいからです。」
七海はデンマーク産の酒をドンとテーブルに置いた。
「なぁ、傑。あまり派手にやらかさないでくれよ頼むから」
そう苦い顔で言ってきたのは夜蛾だ。
未成年の飲酒をなぜだか黙認している教師。
こんなのってありか?と思いながら夏油は朗らかに笑う。
「とりあえず夜蛾先生は、ホールケーキ最低1個は消費してくださいね」
「おいまたそれか?勘弁してくれよ…」
「その他諸々の文句は悟にお願いしますよ。」
その時後ろから呼び止められた。
「夏油くん?レイちゃんを知らないかい?」
「…冥さん。レイなら私の部屋です」
「また君の独り占めかい?妬けるね…」
「そうしたいのは山々なんですけどね…今日ばかりはそうはいかないんですよ。」
冥冥は何かを察したように目を細めてペロリと唇を舐めた。
「…なるほど?それは私も楽しみだ…ターキーよりも美味しいかもしれない…」
レイに頼まれていたターキーやオードブルを次々と並べていく冥冥を見たあと夏油は足早に部屋へと戻った。