第17章 existence■
注文を聞き取った店員は朗らかな笑みを浮かべながらそれを繰り返したあと、付け加えた。
「今、カップルの方限定で、食後に季節のタルトをサービスしておりますが、いかがいたしますか?」
「はいはい俺らカップルでーす!あとそこにいるのもカップルでーす!」
五条は間髪入れずに硝子の肩を抱いて、レイと夏油を指さした。
店員はまた笑みを浮かべてから、かしこまりました。と一礼して去っていった。
「おい五条!ふざけんな。あんたとそんなふうになった覚えはねーよ。だいたいねぇ、私は甘いもんは好きじゃないんだよ!」
硝子は当然不機嫌な顔をして瞬時に五条の手を振り払った。
「ハハハハハ!クマ野郎にあげりゃいーだろ〜」
「言われなくてもそーするよ!!」
五条はゲラゲラと笑っていて、そしてレイも夏油も噴き出した。
みんな揃って外食なんていつぶりだろう、きっと夏休み以来だ。でもやっぱりこのメンバーは楽しすぎる。
そう思ってレイはすっかり今日の失態のことは忘れてしまった。
「てかさぁ、クリスマスもうすぐなんだよ?ここでそんなに甘いもん食って誕生日にもあれだけ食ったのにさー、今月どんだけ糖分摂取するつもりなんだよ。体おかしくなっても知らないよ?」
硝子の呆れ声に、五条は余裕の笑みを浮かべた。
「まだまだ足りないんだけどー?あっ、ちなみにケーキは15ホールもう注文済み!あとレイのサンタコスも注文済み!」
「おい悟!私の許可をとってからという約束だったろう?」
「そーだったぁ?」
「見せてみろ。あまり過激なものだったら今度こそ君の六眼をほじくり返すからな!」
いきり立っている夏油の前に、五条はニヤつきながらスマホの画面を見せた。
すると、ますます夏油の眉間のシワが濃くなった。
「どおー?かなりいいっしょ?」
「やはり君の六眼は腐っているらしい…」
「いや、ギリおっけーっしょ?もう注文しちゃったもんね〜♪」
「・・・」
夏油はため息を吐いて考え込むように腕を組んだ。