第17章 existence■
「にしても首絞め事件はウケるな!おいらがそこにいたらぜってー写メってた!あはははは!」
パフェで汚れた口をそのままにクマは心底可笑しそうに笑っている。
「いやマジ笑い事じゃねーから!俺意識もってかれる寸前だったんだぞ!」
「・・・すまなかった」
夏油が気まずそうに長い髪をかきあげた。
「あっ、そーだ傑!私の髪ゴムいる?」
「持っているのか?助かるよ…」
そう言いつつも、夏油は五条とのゴムについてのやり取りを思い出して軽く吐き気を催していた。
レイから受け取った、淡い紺にシルバーのラメが光る髪ゴムで彼女が好きだと言ったハーフアップに髪を結う。
「似合う!それあげるね!」
「いいのかい?ありがとう」
満面の笑みの彼女の顔を見たら、一気に吐き気が吹っ飛んでしまった。
五条はまた店員を呼び止めている。
「…えっとね、このバゲット付きビーフシチューと、あとアイスコーヒー。それと食後のデザートにこのミルクレープ…」
「えっ?!」
つい驚嘆の声が漏れてしまった。
さんざんデザートを食べた挙句、食事を挟んでまたデザートだなんて…
夏油も硝子も呆れ顔をしている。
クマはパフェを貪りながらクリームソーダを飲んでいる。