第17章 existence■
レイは不安の表情で交互に2人を見つめる。
「ね、私にも見せて?サンタコスはOKしたけど、どんなものかはもちろん本人である私の承諾が必要でしょ?」
「まずおいらに見せろ五条!」
突然クマが五条のスマホをひったくった。
そしてたちまち笑いをこらえるようにして肩を震わせた。
レイはたまらずクマからスマホを取り、それを見て目を見開いた。
パッと見はサンタの女の子用コスプレだ。
しかし、ほとんどキャミソールのようなノースリーブの短いトップスに、へそ出し。
かなり短いファー付きのスカート。
帽子は普通だが網タイツに膝から下までのレッグウォーマーと、肘から手首にかけてのアームウォーマー。
なんとも色っぽい、というかいやらしいコスプレとしか言いようがない。
レイは普通のズボンのサンタさんコスプレだと思っていたのだ。
「ちょっ…とま…これ…本気?」
硝子はどれどれ〜?と言ってレイからスマホをとり、そしてニヤニヤ笑った。
「いーじゃんこれ。かなり似合うと思うよー?」
「だろ?わかってんじゃん硝子。」
五条も硝子も満更でも無い様子だ。
レイは顔が赤くなっていた。
「嫌ならハッキリ断るんだ、レイ」
夏油のその言葉に、すかさず五条がわりこんだ。
「傑〜!そろそろ素直になったらー?彼女のそれ着たところ見たいって。」
「…あのなぁ…まぁいいわかった。正直言えば、見たいには見たい。でもその姿を他の人たちに見られるのは良い気はしない。」
「えっ?傑が見たいなら着るよー!」
すぐさまそう言い返してきた満面の笑みのレイに、五条も硝子も笑いをこらえた。
夏油は目を見開いている。
やはり夏油の言うことならなんでも笑顔で受け入れてしまうレイは純粋なのか天然なのか、天使なのか小悪魔なのか、ただの一人の男を愛してやまない女というだけなのか。
ほどなくして運ばれてきたタルトを笑顔で頬張る彼女に、その場の空気はいつの間にか柔らかいものに支配されていった。