第17章 existence■
車内で目が覚めたレイはこれまでの詳細を聞き、何度も何度も謝った。
「はーもういいって。そんなことよりなんか甘いもん食い行こーぜー!3時のおやつの時間じゃーん!ちょっと過ぎてっけど。」
「や…でも…私結局なんにもできなかった上に迷惑かけすぎて」
「迷惑なんて思っているわけないだろ。正直かなり肝を冷やしたが、レイが無事で怪我ひとつない。これだけで充分だよ。」
にっこりと笑って優しく髪を耳にかけてくれる夏油を見ると、逆にとても申し訳なくなってしまった。
「2人とも…ありがとうほんとに。」
2人に見つけて貰えなかったら死んでいたかもしれない。
「それに、あのときは私も悟も君が見つけてくれたから助けられたんだ。お互い様だよ」
あのときというのは天内理子の1件を言っていることは分かり、唇を噛み締めた。
五条も、うんうんと頷きながら方位磁石を眺めだした。
「にしても佐々木のじーさんのこの呪具なかなかだねぇ。欲を言えばもうちっと分かりやすくしてほしかったけど。」
佐々木は運転しながらバックミラー越しに微笑んだ。
「お役に立てたのならなによりですが、それが私の精一杯なので。」
「いえ、充分すごいですよ。これのおかげで私もレイも助かったようなものですから。」
「いや俺のおかげじゃね?!」
佐々木は、はっはっはと笑ってから言った。
「よろしければあなた方に差し上げますよ。あと1回分くらいは効力が残っているはずですから…。」
不思議なその方位磁石はありがたく受け取ることにした。
「おっ!クマ野郎もちょーど任務終わったらしい!佐々木のじーさんここへ向かってくれ!」
五条はそう言って佐々木にスマホを渡した。
「ていうか悟…ちびまる子ちゃんじゃないんだからその呼び方はやめなよ、失礼だよ。」
「ハハハ良いですよ好きに呼んでください」
佐々木はそう言って快く目的地へ向かってくれた。