第17章 existence■
「とりあえず、2人で固まっていても意味がない。手分けしてレイを探そう。私は時計回り。悟は反時計回りに。」
「あいあい。」
夏油は方位磁石を見ながらその方向へとひたすら歩いた。
五条はまだ強力なのがあと一体はいると言っていたし、つまりは全部で三体いたということになる。
二体は結局五条が片付けてしまったということだ。
「はぁ……全く…私は何をやってたんだろうな…」
ついそう呟いてしまった。
自分の情けなさに心底うんざりした。
もう一体は絶対に自分の手で祓わなければ…
あのときの胸糞悪さは本気で最悪だったが、もう騙されるつもりは無い…
「・・・んん?」
「……あれぇ?傑じゃん。なんでぇ?」
なぜだかまた五条と出会ってしまった。
おかしい…
「君はきちんと方位通りに移動していたのか?」
「してたよ!傑に言われた通りに!」
「だったらなぜ…… レイには会って…ないよな?」
一緒にいないということは、会ってないということだろう。
あれからあまり時間が経ってないのにこんな所で五条と出会うことが奇妙すぎて考え込む。
「見てねーし気配もねぇ。どうなってんだよドラミ!」
苛立ったようにレイに電話をかけ始めた。
「………あ!ドラっ、レイ?!
今どこいんの?!」
«えっ、どことか言われても…こんな森の中じゃわかんないよ。どっちかって言うとー…北方向…かなぁ…»
「とりあえずさぁ、そこ動かないで?ひとまず3人合流したいからさ。」
«んー、わかったぁ。ちなみに今のとこはなんにもいないから安心して»
「おーけおーけ」
«……あっ……»
プツッー…
プープープープー…
「・・・え?何今の"あ"って。」
「あ?」
「あって言って、で、切れた。」
2人の表情が同時に変わっていった。