第2章 call■
「さあ!もう行こう五条!これ以上2人の邪魔しちゃ悪いよ!」
「ちぇ〜。はいはい」
本気で残念そうな顔をして引っ張られていく五条を見ながら、だんだんと緊張感が蘇ってきた。
パタンと扉が閉まり、2人きりの空間になった途端にそれは爆発寸前になる。
夏油によって、ピッとテレビが消され、静寂に包まれた。
ソファーに座ったまま深く深呼吸し、どうしていいのか分からずにバスローブの胸元を掴んだ。
「さて…煩いのはようやく消えてくれたし…
ねぇ、どっちのベッドがいい?」
「う…えっと…」
ベッドは2つあるのだが、1つは恐らく使わないだろう。
「ど、どっちでも。」
「じゃあこっち。」
そう言って窓際のベッドの前に立って手を差し伸べてきた。
ゆっくりとソファーから立ち上がり、その手の方へと歩みを進める。
あと40cm、20cm、10cm、…
手を伸ばしてその手を掴んだ瞬間、グッと引かれて腕の中に閉じ込められた。
厚い胸板に顔をつけ、柔らかいバスローブの感触が頬に伝わる。
震える手で背中に手を回すと、ギュッと力が入ったのがわかり体が熱くなる。
しかし、夏油の体もとても熱いと思った。
自分と同じ石鹸の香りがしてその心地良さに目を瞑る。
ずっとこのままでもいいかもなんて思えてきてしまった。
「レイ、緊張してる?」
「当たりまえでしょ…」
「でも、私の方が緊張しているかもだよ。ほら…聞こえるだろ?」
そう言って後頭部を抑えられ、そのまま胸板に強く耳をつけると自分に負けないくらいにバクバクと波打っている鼓動が聞こえた。
「言っとくが、私だって緊張しているし…興奮もしてる…」
「ふ…嬉しい…」
素直にそう口にしてしまった。
夏油は声を出さずに肩で笑いゆっくりと髪を撫でてくれた。