第16章 division
"ホントは逃げ出したいくせに"
"ホントは目を背けたいくせに"
五条の笑みが消えた。
"終わりにしたいくせに"
"幸せになりたいくせに"
「あぁ……だな…確かに…」
"全部終わりにしろ、楽になれる"
「いや…仲間を置いてくわけにはいかねーよ…」
"何も背負う必要はない"
"他人に命を賭けるほどの価値はない"
"早く自分自身を解放しろ"
"逃げて幸せになれ"
「……でも俺はさ、だとしてもあいつらと一緒が…」
五条は拳を握り締めた。
頭の中に浮かんできたのは…
「…悟!こっちに来い!」
「悟〜!早く〜!」
「五条!早くしろよっ!」
「えっ?!お前ら…どこ?!」
突然聞こえてきた、夏油、レイ、硝子の声。
その声の方へと、1歩2歩と足を動かす。
「私と逃げたいんだよねっ!悟!
もういいじゃん、一緒に行こーよ!
こんな現実から逃げてさ、幸せな世界に行こ!」
「…… レイ」
「普通の人間として、普通の生活してさ。
普通の青春を過ごそ!私と!ほら早くっ!」
五条はクスリと笑った。
「うん……そうだよな……そうす…」