第16章 division
やはり細々とした呪霊は、あの時と同じようにまた増えている。
メインの"アレ"がいたとしても、恐らく五条のような性格の者ならば大丈夫だろう。
とクマは思いながら、チラと五条を見る。
五条は余裕の表情でそれを祓っていた。
「つぅかさー、この森、
どのくらい破壊しちゃっていい系?」
「……好きにしろよ」
むしろこんな森、ない方がいいくらいだ。
人間にとって、人生を捨てるのに割に合わないおかしな呪霊の巣窟。
しかし……どこだ?
「っ!!!」
クマが避けたのと同時に、それは五条が祓った。
「へーき?くまぴー?考え事は危険だよ。」
ニヤリと笑う五条に向かって、クマは顔をしかめて言った。
「てめぇな、そろそろそのふざけたグラサン取ってメインを捜せや。おいらはあっちへ行くからな」
そう言ってビュンと飛んでいってしまった。
五条はサングラスを取ることなくただてくてくと歩いていく。
「あ〜あ…俺が六眼なんか欲しいっていつ言った?母親の腹ん中で、んな事言ったかー?それともオタマジャクシの頃に言った?」
ため息混じりでそう呟きながら上を見上げると、
明らかに首吊り自殺の残穢があった。
「…うっげ…マジか……
まぁさ、こんなリアル(現実)にウンザリする気持ちもわかるけどさ、でも俺は死にてーと思ったことは、…??」
その瞬間、自分の周りが真っ黒い闇に包まれた。
たちまち今、自分がどこにいるのかわからなくなる。
すると、声が聞こえてきた。
"死にたい…"
"消えたい"
"終わりにしたい"
"一緒に死のう?"
「ぷっ!え〜嫌だよ」
"こっちは楽だよ"
"こっちは幸せだよ"