第16章 division
「つーか、くりすますってなんだ?」
ズコッ!
五条がわざとらしく腰を折った。
夏油はたまらず噴き出した。
「マジズコッだわそれ!ズコッだよ!」
「あぁん?食いもんか?」
「ふふん、まぁそう、あながち間違っちゃいないから
それでいいよクマ野郎は!」
ただ説明がめんどくさい、というかできない五条に変わって、夏油はクマに耳打ちする。
「イエスキリストの誕生日だよ。
ほら、クマ助が好きな聖書の…まぁそのお誕生日会みたいなもんだよ」
「おお!あれか!あいつの!…ほほう…。
で、それをなぜクリスチャンでもないお前らが祝う必要があるんだ?」
「・・・」
「・・・」
「なぁにもうクリスマスの話してるわけぇ?まさかあんた去年みたいなことするんじゃないでしょーね?!」
突然の硝子の声に、一気に我に返った五条はまた声を上げる。
「いや、やるだろ!やるに決まってんだろ!今年はもっとケーキの数を増やして、で、」
「あんた結局ケーキ食べたいだけなんじゃん」
「え!あれ以上増やすの?!」
硝子とレイの声が重なった。
実は去年のクリスマスにはレイもいた。
まだほとんど皆に馴染めていなかったのだが、あの光景は本当に忘れられない。
まず、様々な種類のホールケーキが少なくとも10個はあった。
さらに、闇鍋をした。
そしてサンタのコスプレをした五条がトナカイのコスプレを夏油に無理やり着せていた。
その格好で校内にいる全員にプレゼントを配りに行って…
一番驚愕だったのは、王様ゲームで五条が夏油にキスをしていたことだ。
今思い出すと、あれはなかなかヤバい、どころかヤバすぎるクリスマスパーティーだった。
けれどレイにとっては初めての楽しいクリスマスだったことも事実だ。