第16章 division
あの災厄から月日が経ち、冬になった。
「く〜りすますがこっとっしっもやぁ〜てくる〜悲しっかったできごとっをっ消し去るよぉっに〜♪」
「ちょっとうるさい五条!黙ってろ!
動画の音が聞こえねーだろ!」
「えぇー?!」
硝子のおもしろ動画を観ながら、レイと夏油とクマがゲラゲラ笑っている。
教室に入ってきた途端、邪険に扱われた五条は不貞腐れたように夏油の腕を乱暴に引いた。
「っ!なんだ」
「なんだってなんだよ傑くん!わかってるだろー?」
不気味な笑みでニヤリと顔を近づけてくる五条に、夏油は顔を顰める。
「はぁ?」
「クリスマスだよクリスマス!今年もあれやるだろー?」
「・・・」
夏油は去年のクリスマスのことを思い出し、瞬時にまたレイたちの方へ戻ろうとした。
が、また五条に腕を掴まれた。
「はぁ…悟。いい加減にしろよ。あれはやらない。
それからあれも、あれもやらない。」
「あ!わかったわかった!んじゃさー!
あれはレイにやらせればよくね?」
「はぁ?君は何を言って…そんなこと」
「おっ!傑くん?あれと言ってわかるだなんて…
わかってるじゃないかっ!」
あからさまにニタリ顔になり、バシンと背中を叩いてくる五条から目を逸らす。
「ははは!やっぱ見たいんだ!見たいんだね?
レイのアレ!」
「・・・別に。」
「なっ?!別にって…エリカ様かよっ!!
とりあえずあれは決定ね!超絶やべぇの用意しとくよ!お楽しみにね傑くんっ♡」
耳元で囁かれ、ぞわりと鳥肌がたった夏油は瞬時に五条を押しやる。
するといつの間にか、近くにクマがいた。
「なぁ、あれってなんだ?」
「おっ!なんだ聞いてたのかプー太郎!
そうだ今年はお前もいるわけだ!存分に楽しもう!」
「だからなんだ?何の話だ。」
五条は不機嫌そうな夏油の隣でサングラスを取ってウインクをした。
「ク・リ・ス・マ・ス♡ぱーりーだよ♡」
「・・・きも」