第16章 division
天内理子の1件は、やはりかなり大きなダメージを誰もに与えた。
忘れることのできない記憶となってしまった。
とくに…
初めて任務に失敗し、初めて何かに圧倒された2人は、
当然しばらくの間、憔悴しきっていた。
その2人の気持ちを心の底から理解できる者はいない。
最強と謳われる2人にしか分からない傷や闇、見たもの聞いたもの感じたものは、誰にもわからない。
だからこそ、周りは何も聞かず、普段通りにしていた。
しかしそんな2人も、やはり強靭な精神力というべきか、わりとすぐに元に戻っていった。
心も元に戻ったわけはないと思うが…
と誰もが感じていた。
そして、その1件のおかげと言うべきか、
2人ともみるみる強くなっていった。
とくに五条に関していえば、覚醒したと取れるほどにますます頭角を現しているのが誰の目にも明らかだった。