第15章 disaster
五条は空中で、自分に滾り出す力をただただ実感していた。
ごめん天内…
俺は今、お前のために怒ってない…
誰も恨んじゃいない…
「天上天下唯我独尊」
宇宙の中で我より尊く至高のものはない。
今はただただ…
この世界が心地良い…!!
こちらを見上げながら、男は「化け物が…」と呟いている。
アンタ…御三家…禪院家の人間だろ。
"蒼" も "赫" も
無下限呪術のことはよく知ってるわけだ。
だがこれは五条家の中でもごく一部の人間しか知らない。
順転と反転
それぞれの無限を衝突させることで生成される。
仮想の質量を押し出すんだ……
「……虚式……茈……!!!」
「終わったな…」
クマの小さな呟きはその凄まじい轟に掻き消された。
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「最期に言い残すことはあるか」
「……ねぇよ。
2.3年もしたら、俺のガキが禪院家に売られる。
好きにしろ…」
自尊心も情も…もうとっくに捨てたはずなのに…
なぜ今、思い出す?
ガキを抱いているところなんか…
あの女が妙な魘夢を見せたせいだ…
自分も他人も尊ぶことない
そういう生き方を選んだのは俺だろうが。
伏黒(禪院)甚爾は…死亡した。