第15章 disaster
「よお、久しぶりぃ!」
「……マジか」
目の前にいるのは、確実にズタボロに切り刻んだはずの五条悟。
なぜ、生きている?
「大マジ!元気ピンピンだよっ……」
「まさかっ…術式反転!」
「正っ解っ!!お前に喉ぶち抜かれた時、反撃は諦めて反転術式に全神経を注いだ。呪力は負のエネルギー。肉体の強化はできても再生することはできない。だから負のエネルギー同士を掛け合わせて正のエネルギーを生む。それが反転術式!わかるかな?」
ケラケラと笑っている血まみれの五条に男は顔を顰めた。
ペラペラとこいつ…
ハイになってる?
「ま、言うは易しで俺も今までできたことねーよ?周りで唯一できる硝子は何言ってるかサッパリだしな?
だが死に際で掴んだ呪力の核心!
お前の敗因は俺を首チョンパしなかったこと!
それとっ
頭をぶっ刺すのにあの呪具を使わなかったこと!
ハハッ!ハハハハハッ」
いいだろう、五条悟。
ここで確実に息の根を止めてやる。
「ふ…敗因?勝負はこれからだろ」
「あ゛ーーーー!?
そうかぁ?!そうだな!!そうかもなぁあー!!」
バガガガガガ!!!
ドガガ!!!
バキン!!!
"お前はまだ本気を出したことがない"
クマの言ったあの時の言葉…
そうだな…俺は…
"お前にならできるんじゃねぇの、五条悟…
理想の世界を一瞬で作ることくらい…"
そうだ、俺の覚悟が甘かったからだ。
何もかもがどーでもいいと思ってた。
なにもかもが本気じゃなかったんだ。
今なら……
「術式反転……赫……!!!」
どごごごごごごごーーーーん!!!!!
「おっと、危ねぇ。あのハイテンションバカ…」
クマは崩れ落ちる建物を瞬時に避けた。
危険極まりないその乱闘の間合いに入らないよう、遠くの高台から見下ろす。
「全神経を己のみに集中させろ…五条悟。
お前は今、覚醒する…」