第2章 call■
「あーごめんね、夏油。せっかく二人きりなのに邪魔しちゃって」
「…いや。」
硝子は心底申し訳なさそうだ。
夏油は、ため息を吐いている五条の横に腰掛けテレビに目をやる。
画面はまだそのニュースだ。
「そもそもさぁ、帳ってそこまで必要?別にパンピーに見られたって良くねぇ?呪霊も呪術も見えねぇんだし」
「ダメに決まってるだろ」
夏油は足を組みながら呆れたように一喝した。
「呪霊の発生を抑制するのは何より人々の心の平穏だ。そのためにも目に見えない脅威は極力秘匿しなければならないのさ。それだけじゃな」
「わかったわかった!弱い奴らに気を遣うのは疲れるよホント…」
言葉を被せて心底うんざりしたように言う五条に、至って冷静沈着な態度で夏油は続けた。
「弱者生存…それがあるべき社会の姿さ。弱きを助け、強きを挫く。…いいかい悟。…呪術は非術師を守るためにある。」
「…それ、正論?…俺、正論嫌いなんだよね」
「…なに?」
ニタッと笑い出す五条に、夏油は怪訝そうな表情をして睨む。
「呪術に理由とか責任を乗っけんのはさ、それこそ弱者がやることだろ。ポジショントークで気持ちよくなってんじゃねーよ。うげーー」
「…外で話そうか、悟…」
「は…寂しんぼか?一人で行けよ」
睨み合いを始める2人にレイはとにかくあたふたする。
硝子はやれやれと言った顔でチャンネルを変えていた。
「ちょっとちょっと、こんなとこまできて喧嘩はやめようよ!せっかく豪華なホテルにいるんだしさぁ!」
「じゃ、レイはどう思うんだ?」
「レイは私の言っていること分かるはずだよな」
「…えっ」
突然板挟みになるとは思わず口を噤むが、2人の視線が痛い。
助けを求めようと硝子を見るが、彼女はテレビのバラエティー番組に釘付けになっていて全く話を聞いていないようだ。