第15章 disaster
"今、高専の結界内に入ったよ。
これから理子ちゃん送り届けてから戻る"
夏油からのメッセージ。
今日も昼から任務だったレイは、これを見たのは送られてきてから1時間後だった。
しかし…
「ね、ねぇ何これ?!どうなっちゃってるの?!」
なぜかそこら中に蠅頭が飛んでいる。
ありえない数だ。
今高専には、夜蛾と硝子とクマと自分しかいない。
なんとか呪力でそれを祓いとめながら急いで夏油に電話をかける。
五条にもかけたが、どちらとも応答がない。
「…まさか傑たちに何かあった…の…かな…?」
出てきた声はやはり震えていた。
そしてクマはなんの躊躇なく即答した。
「多分あった。行くか?」
「もちろん行く!!」
意を決したように言うと、夜蛾が蠅頭を祓いながら声を上げた。
「気をつけろよ神無月!この結界の内側に入れる奴なんて相当の手練だ。もしくは」
「大丈夫です!きちんと警戒します!硝子は待機していて!2人が負傷で戻ってくる可能性もあるから!」
「わかった!クマ太郎も気をつけてよ!
レイを頼んだからね!」
「はっ。誰に言ってやがる。」
レイとクマは呪霊に乗って飛んで行った。
「早くしないとっ!」
「少し落ち着けお前。」
いつでも冷静沈着な態度のクマは、追ってくる蠅頭を一瞬でやっつけている。
しかしレイはさっきからわなわなと震えが止まらない。
何か嫌な予感がするのだ。
なぜならさっき、ルビーの隣に着けていたピアスがなんの予兆もなく突然外れたからだ。
そのピアスを、冷や汗をかきながら見つめ、おもむろにポケットに締まった。
とりあえず今は急がなくてはならない。