第15章 disaster
泣きじゃくっている天内を見ながら、夏油の脳裏にレイが電話で言っていた言葉が反芻された。
"まだ中学生なんだよ?棗ちゃんと同じ…
やりたいことや聞きたいこと、見たいものや感じたいもの、まだまだこの世界で経験したいこととか、本当はたくさんあるはず…"
夏油はクスリと笑った。
そして、優しく手を差し伸べる。
「帰ろう、理子ちゃん。」
天内は涙を拭いながら顔を上げて微笑んだ。
「…うん!」
パンッー…
その手に触れられることは無かった。
天内は崩れ落ち、みるみる地面に血溜まりを作っていった。
「……理…子ちゃん…?」
「はいっ、お疲れ〜解散解散!」
その声の主に、目を見張る。
まさしく先程五条を刺した男がピストルをもって突っ立っていた。
「なぜ…お前がここにいる…」
「なぜって…あぁそういう意味ね。
…五条悟は俺が殺したよ」
一瞬、時が止まったかのように何も聞こえなくなった。
体中から感じたことの無い憎悪が滲み出てくる。
無意識にも自分の中から呪霊が出てきた。
「そうか……死ね!」
勢いよく飛んでいく攻撃を男は余裕で避けている。
かなりの俊敏さだ。
「はっ。焦んなよ。」
「途中に女性が1人居たはずだ。彼女はどうした!」
「ん?あーあのメイドか。多分死んでるかなー。生かす気も殺す気も無かったけどな。運良きゃ生きてんじゃね?」
夏油の見開かれた眼光が冷徹に光り出した。
「……やはりお前は死ね…!」
火蓋が切られたようにそこは凄まじい戦場と化していった。