第15章 disaster
ーー翌日ーー
夏油はすぐさまレイにメッセージを打ち込み、スマホをしまいながら言った。
「……よし…皆お疲れ様。高専の結界内だ。」
「…これで一安心じゃ!」
執事の黒井はやはり寂しそうな顔で俯いていて、五条はというと、天内のためにほぼ2日術式を解かずに眠れていなかったため、完全に目を虚ろにさせボーッとしている。
「悟。本当にお疲れ。」
「二度とごめんだ…ガキのお守りは。」
トスッー…
それは本当に一瞬だった。
五条が背後から男に刀で突き刺された。
夏油は目を見開く。
(馬鹿な!!ここは高専結界の内側だぞ!!!)
「っ……あんた…どっかで会ったか…?」
冷や汗を流して笑みを浮かべる五条に刀を突き刺したまま、男は言った。
「気にすんな。俺も苦手だ。男の名前覚えんのは。」
「悟!!!」
夏油の呪霊によってその男は飲み込まれた。
五条は駆けつけてくる夏油を手で制し、余裕の笑みを浮かべた。
「大丈夫だ、問題ない。術式は間に合わなかったけど内臓は避けたし、その後呪力で強化して刃をどこにも引かせなかった。ニットのセーターに安全ピン通したようなもんだよ。マジで問題ない。」
「・・・そうか」
天内と黒井は突然の出来事に顔面蒼白にして焦りの表情を浮かべている。
ここまで来てこんなことが起きるとは予想外だ。
「とりあえず天内優先。アイツの相手は俺がする。傑たちは先に天元様の所へ行ってくれ」
「…油断するなよ」
「ふん、誰に言ってんだよ」
夏油たちが去った後、その男はすぐに夏油の呪霊を切り刻みながら出てきた。
「ありゃ、星漿体がいねーな。できればお前はさっきので仕留めたかったんだが、ナマッたかなー」
「天内の懸賞金はもう取り下げられたぞマヌケ」
「俺が取り下げたんだよヤセ我慢」
2人の余裕の笑みが交わった。