第15章 disaster
それは夏油からで、黒井さんは無事に救出し、今は海水浴に来ているとのこと。
「あ〜よかったぁ、凄く心配してたんだよ。でもやっぱ余裕だったみたいだね。海にいるなんていいなぁ」
«まぁね。すごく綺麗な海だよ。さすが沖縄だ。今度一緒に来よう。もちろんクマも連れてね。»
その言葉に、レイの顔は自然と綻んだ。
やはり、傑もクマのことを自分と同じように家族のような存在だと思ってくれているんだと知った。
いつでも3人で1セットだと。
「うん!約束ね!ところでせっかくだから、もっといろいろ観光したら?」
«んー……でもなぁ…明日には…»
責任感の人一倍強い夏油は任務であるということなどいろいろと考えているようだ。
「まだ中学生なんだよ?棗ちゃんと同じ…
やりたいことや聞きたいこと、見たいものや感じたいもの、まだまだこの世界で経験したいこととか、本当はたくさんあるはず…」
夏油の表情は見えないが、複雑そうに口ごもったのがわかった。
«…そうだな…ギリギリまでは観光するか。悟もはしゃいでいるし…»
五条が天内と海ではしゃいでいるところが安易に想像できて、レイは笑った。
「傑も楽しんでおいでよ。そういえば沖縄の水族館とか凄いって前に冥さんが言ってたよ。連れて行ってあげたら?あ、でも次は私とクマも連れてってね?」
«はははっ。もちろん。で、レイは今何をしているんだい?»
「私は今クマとカフェにいる。クマが甘いもの食べたいって言うからさ。すごーく可愛くてオシャレなんだよここっ。戻ってきたら、一緒に来よ!」
«ふっ。わかった。とりあえず明日には理子ちゃん連れて高専に戻るよ。»
「わかった!着いたら必ず連絡してね!」
一先ず無事が確認できて良かった。
状況は落ち着いているらしいから、あとは帰りを待つだけだ。
今なら、パンケーキでもなんでも喉を通りそうだと思ったが、注文するのはやめておこうと思った。
傑と来た時まで楽しみはとっておく。
レイはクマの口を拭いながら微笑んだ。