第14章 surreal
「術式反転……赫…!!」
「・・・」
「・・・」
しーん………
「アハハハハハ!失敗〜!!!」
ボコッ!
結局ただのパンチだった。
「なんかできそうって思ったんだけどなぁ〜
まだ赫はダメかぁ〜」
「マジでなんなんオマエ……あ!黒井からじゃ!」
天内に一通のメールが届いた。
そこには黒井が明らかに人質に取られている画像。
「おおおおおい!どっどっしよ!黒井がっ!!!」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「すまない、私のミスだ…
敵側にとっての黒井さんの価値を見誤っていた…」
合流した夏油は、黒井を1人にしてしまったことを心底悔やんでいるようだった。
「そーか?ミスって程のミスでもねーだろ。交渉の主導権は天内のいるこっち。天内はこのまま高専に連れてく。硝子かレイにでも影武者やらせりゃいーだろ」
「まっ、待て!取引には妾も行くぞ!
まだオマエらは信用できん!」
「あぁん?このガキ…この期に及んでまだ…」
「助けられたとしても!同化までに黒井が帰ってこなかったら?まだ…お別れも言ってない…のに…」
天内の目尻から涙が零れ落ちそうになっている。
「…悟、どうする?」
神妙な面持ちの夏油の隣で、五条のため息が漏れる。
「はぁ…もしアッチの頭が予想より回って、天内を連れてくことで黒井さんの生存率が下がるようならやっぱお前は置いていく。」
「わかった…それでいい…」
天内の覚悟の目を確認した後に、五条の目つきも厳しく変わった。
「逆に言えば、途中でビビって帰りたくなってもシカトするからな。覚悟しとけ。」
ピコンッ
夏油のスマホが鳴った。
"状況はどう?理子ちゃんは無事?"
レイからのメッセージ。
返信しようとしている夏油の手から、五条はスマホを引ったくってニヤリと笑った。