第14章 surreal
ピコンッ
「…っ。はー……」
一先ずホッとする。
レイに送られてきたのは文字ではなく写メだった。
そこには五条がふざけ顔で笑ってピースサインをしている隣で天内理子のポカン顔と、不意打ちのような表情の夏油が映し出されていた。
ピコンッ
"無事無事〜!元気いっぱいでぇーすっ!
これから人質交換場所に行ってくんね〜?
いい子でダーリンの帰りを待っててね?
まいすいーとはにー♡"
このメッセージは確実に夏油ではなく五条だろうということがわかり、眉間に皺を寄せた。
「っえ。てか、人質ってなに??どういう」
〜♪
疑問符を浮かべていたら電話が鳴った。
もちろんそれは夏油から。
しかし、相手は五条かもしれないと思って恐る恐る通話ボタンを押した。
「…はい」
«レイ、急遽沖縄に飛ぶことになったよ»
声は夏油のものだった。
しかし突然のその言葉には驚嘆する。
「えぇ!沖縄?なんで?!」
«人質の交換場所がなぜか沖縄指定なんだよ»
「そ…なんだ…。ていうか、人質ってどういうこと?!」
«私のミスで黒井さんがね…でもすぐ連れ戻す。
心配しないで。あっ、さっきの写メは削除希望。»
「はは…消さないよ。それよりまた遠くに行っちゃうんだね…」
«…あぁ。でもなるべくすぐ戻れるよう努力する。なにしろ天元様の同化に間に合わないとだし。今空港なんだけど、»
「えっ、あっ!飛行機とか大丈夫なの?」
«飛行中は私の呪霊で外を張って、離陸前に悟が六眼で乗客乗員機内外をチェックすれば問題ないさ。»
(おーい!傑はやく〜!!)
電話の向こうで五条の呼ぶ声が聞こえ、ピクリとなる。
«てわけだから、もう行くね。
私が戻るまでいい子にしてるんだよ。
マイスイートハニー…»
プツッー…
プープープー…
「え……」
まさかそんな言葉が傑から出てくるとは……
レイは火照り出す顔をそのままに、しばらく電話の切れた音を呆然と聞いていた。