第14章 surreal
«…レイ?»
「あっ!すぐるっ!」
«任務は終わった?怪我はない?大丈夫?»
真っ先に自分のことを心配してくれる、その愛しい声に、思わず目がうるうるとしてきてしまった。
「だ、大丈夫!ねぇ傑たち今何してる?どこいる?」
«今中学校で変な奴らを皆で撃退したとこさ。理子ちゃんは今悟が連れてる»
耳を澄ませると、向こうの方でなにやら騒がしい声が聞こえる。
すると夏油が電話を少し遠ざけて、何かを返答した。
「あっあのね傑聞いて!その子に懸賞金がかけられてるよ?」
«えぇ?懸賞金?»
「うん!3000万の懸賞金。明後日の午前11時までの期限付きで…」
«…なるほど。だからQでも盤星教でもないようなのが湧いているのか…はぁ…»
「すぐそのサイトを送るから!!」
«ありがとう。さすがレイだな。助かるよ»
「ううん、クマが見つけてくれたの!私はなにも…」
«でもこうしてすぐ知らせてくれたのはレイだ。…っあ!とりあえず悟と理子ちゃんの安否確認しなくちゃだから一旦切るね!ありがとうレイ。»
切羽詰まった感じで電話は切れた。
それでもレイは嬉しかった。
役立たずの自分に、大好きな人が感謝の言葉をくれた。
早く会いたい…傑に…
レイは急いでそのサイトを添付した。
「ロン毛とグラサンは無事だったかー?」
クマはいつの間にか森さんからもらったガムで風船を膨らめている。
「うん…なんか結構余裕で大丈夫そう…」
「ふうん。今だけかもしれんが。」
「っえ?」
クマは只者ではない上に、今回のように予感的中率も半端じゃない。
そんなことを言われるとたちまち不安になってしまう。
「油断禁物だっつーことだ。」
パチンッと風船ガムが割れ、ベタリとクマの口にへばりついた。