第14章 surreal
自分の爆破によって巻き起こった煙を遮りながら、
ビルの下を見下ろし、笑みを浮かべる男。
「悪く思うなよ、恨むなら天元を恨み…な?!」
落としたはずの少女がなぜか妙な奴にキャッチされている…
目を見開いて唖然としていると、少女を抱いたまま呪霊に乗って自分の方まで上がってくる制服の男…
「ふー…目立つのは勘弁してくれ。
今朝怒られたばかりなんだ。脳筋の担任教師にね。」
夏油は、抱いている少女の顔を覗き込む。
息はある。
というか…この子が星漿体?
まだ棗と同じぐらいの歳じゃないか…
明らかに制服姿の中学生に眉をひそめる。
「その制服、おまえ高専の術師だな?
ガキを渡せ。殺すぞ。」
夏油はいきり立っている男に視線を移した。
帽子とマスクと兵服のような奇妙な姿。
「いつの時代の戦闘服だよ…」
心の声が漏れていることには気が付かなかった。
「…それをお前が言うか?お前のそのボンタンの方がどうかと思うぞ」
こいつが噂のQ…?
この感じで呪詛師か…
あまり強くはない呪詛師連中みたいだな…
悟じゃないが、ちょっとウケる。
まぁ、多少は目立ってもいい…よな…
「聞こえないな。もっと近くで喋ってくれ」
夏油はわざとらしく耳に手を当ててそう言った。
それは男のこめかみにピキっと青筋を立てるのに充分だったようだ。
至極余裕さながらの舐めた態度の高校生に完全にブチギレている。
「…クソガキが」
ニヤリと笑う夏油と、帽子とマスクの隙間から見える鋭い眼光が交わった。