第13章 quarrel
その後の話は、要約するとこんな感じだった。
その少女は天元と同化する運命にある人間のこと。
天元は不死だが、不老ではない。
500年に1度のペースで天元と適合する人間「星漿体」と「同化」し、肉体の情報を書き換える必要がある。
そうしなければ術式が肉体を創り変え、人ではなくなり意思のない高次存在に進化してしまうからだ。
そうなってしまったとき、天元は天元として機能しなくなってしまい、最悪の場合には、天元は人類の敵になり世界が崩壊すると言われている。
つまり「星漿体」は天元を生かす装置のような存在ということらしい。
「高専各校、呪術会の拠点となる結界。多くの補助監督の結界術。それら全てが天元様によって強度を底上げしている。あの方の力添えがないと、防衛や任務の消化すらままならないんだ。」
「へぇ〜かっくいい〜っ」
「・・・」
真剣に聞いている夏油に対し、五条はわかっているのかいないのか、目は宙を舞っている。
「でな……」
夜蛾が一際険しい顔になり、腕を組み始めた。
レイはさっきから、ずっと黙ったまま話を聞いている。
「その星漿体の少女の所在が漏れてしまったというわけだ。今少女の命を狙っている輩は大きくわけて2つ。
天元様の暴走による現呪術会の転覆を目論む呪詛師集団"Q"
天元様を信仰崇拝する宗教団体・盤星教"時の器の会"」
天元の星漿体の同化は2日後の満月だから、それまで少女を護衛し、天元様の元まで送り届ける。
これが、五条と夏油に言い渡された任務だった。
「失敗すれば、その影響は一般社会にまで及ぶ。
心してかかれ!」
神妙な面持ちのレイとは裏腹に、当の二人は余裕そうな表情を浮かべていた。