第13章 quarrel
結局、喧嘩の内容は2人からは聞き出せなかった。
でも仲直りはできたっぽいし、硝子も、こんなんフツーだからとか言っていたし、レイはあまり気にしないことにした。
しかし、夜蛾の説教はかなり長かった。
まぁそれは当然のことで。
レイも、割れたガラス窓の散乱した廊下や、あちこちの汚れた場所など、たくさん掃除を手伝った。
「ったくお前らは…まぁいい。俺も説教には疲れた。
今度の任務はお前ら2人に行ってもらう!」
夜蛾は夏油と五条に強く言い放った。
しかし2人はあからさまにうんざりした顔をした。
「・・・なんだその面は!」
「え〜これって罰の延長線?
もうせんせーのゲンコツくらったじゃぁん」
五条と夏油は痛そうな顔をして頭をさすっている。
かなりわざとらしいが。
「違う!…正直荷が重いとは思うが、
天元様直々のご指名だ!!」
「「!!!」」
全員ギョッとした顔になり、夜蛾の顔を見つめる。
夜蛾までも少し不安そうな表情を滲ませている。
「依頼は2つ。星漿体つまり天元様との適合者の少女の護衛とその抹消だ。」
「「????」」
全員の頭に疑問符が浮かぶ。
クマだけは顔を険しくしていた。
「ガキンチョの護衛と抹消ぉ〜?んだそれ…」
心底わけわからんというような顔をし、五条は体を仰け反らせた。
「…そうだ。それが今回の、…」
「ね、傑、ついにボケたかな?この人。」
「次期学長ってんで浮かれているのさ、多分。」
ヒソヒソ話をする五条と夏油にまたゲンコツが飛びそうになったところで、夏油が突然真顔で言った。
「っていう冗談はさておき、天元様の術式の初期化ですか?」
「っ、あのな傑、わかっているなら…
それに、その陰口を冗談かどうかは俺が決めることだ」
不意をつかれたような夜蛾の苦い顔を見て
プーっとレイは噴き出した。
隣の席に硝子はいない。
あれだけ掃除に付き合わされて苛立っていたし、きっとタバコでも吸いに行ってしまったのだろうということはこの場にいる誰もがわかっているのでとくに話題にすら出さない。