第2章 call■
「…ふ… レイ…またそんな顔して」
「だからそれ言われても…わかんないし…」
誤魔化すように目を逸らすが、明らかに赤く火照っている頬をスっと指で撫でられる。
悩ましげに眉を寄せた色気のある表情をされ、全身の血流が早くなるのがわかり目眩すらも引き起こしそうになる。
「…これ以上を期待しているみたいな顔だけど。」
「んっ…」
軽く啄むようなキスをしただけで小刻みに震えているのがわかり夏油は頭を撫でてから体を離した。
「冗談。なんにもしないよ」
そう言ってカーテンを開けようと振り返った瞬間、後ろからレイにしがみつかれた。
目を見開いて口を開きかけた時、蚊の鳴くような声が聞こえる。
「もう1つ誕生日プレゼントが欲しい…」
「…うん?なに?」
「私の初めてに…付き合って…」
相当勇気を出して言ったであろうその言葉は震えていて、胸が締め付けられる思いがした。
眉をひそめて俯く。
そのままの体勢でしばしの沈黙が流れた。
「…だめ…かな……」
消え入りそうなその声に、夏油は意を決したように強く返した。
「ダメじゃない。ただ…後悔しても知らないぞ」
「するわけない。どうしてそんなこと言うの…」
夏油は振り返ってその震える身体を抱きしめ、背中を摩った。
「私が後悔してしまいそうなんだよ。君のことを…傷つけてしまいそうな気がするんだ。」
その声は、今まで聞いたことがないくらいに弱々しがった。