第2章 call■
初めての夏油との抱擁にさすがに鼓動が早くなっていく。
おずおずと背中に手を回すと、夏油の腕の力も強くなった。
「…夏油く…っじゃなくて…傑…」
「…くく…おい…」
体を離されたかと思えば、グッと顎を掴まれ、目と鼻の先で真剣に見つめられる。
「さっきはあんなに何度も悟のことを呼んでいたのに、私のことはまだ間違えちゃうのか?」
悟と連呼したあの時は焦っていて明らかに無意識だった。
しかし、無意識で自然だったからこそ、夏油の機嫌を損ねてしまっていたようだ。
あの時は冷静だったのに、2人きりになった途端こうだから少し意外でもあり嬉しかった。
「ふ…ごめん…」
「何笑ってる」
「なんか…嬉しくて…」
「は?」
瞬時に噛み付くようなキスが降ってきた。
柔らかい舌が唇を割って滑り込んできて思わずビクッと怯む。
それに気づいたかのように夏油が腰を引き寄せた。
密着した体から一気に熱が放出されたのが分かる。
戸惑いながらも舌を出すと、すかさず奥から吸い上げられ、絡まり合った。
後頭部を押さえつけられ、さらに奥へと侵入してきた舌が口内を艶めかしく蹂躙していく。
初めての感覚に初めての快感。
なんとも言えないとろけるような口付けが、角度を変えて何度も交わされた。
ついに酸素が足りなくなって息が苦しくなり顔を背けてしまった。
息を荒らげながら恐る恐る前を見ると、厭らしく唇の濡れた夏油が薄らと笑っていてドキリとなる。