第13章 quarrel
「悟のせいでレイが私の呪霊を飲み込んでしまったぞ。どうしてくれる」
「あー?俺のせいじゃねぇだろ。奪還戦でも申し込めばー?」
「だいたい、君は何度も私の逆鱗に触れるようなことをしてくれるが、学習能力が無さすぎる。」
「へーへー。たいして普通のお勉強ってのをしてきてないんでね。傑の言う通り普通の人間じゃないんで」
「ほう、ならもう一度その幼稚な頭に叩き込んでやる必要があるな…!」
「おいこらてめぇら!!!
いつまでやってんだ!!!殺すぞ!!」
誰もがビクッと肩を震わせピタリと口を噤む。
クマの目が三日月形に変わっていて、毛並みが逆だっているのがわかった。
あの日のように…
全員その姿にハッとなり、たちまち冷や汗をかく。
つい忘れがちになってしまうのだが、クマは一応、特級階級なのだ。
随分と久しぶりに思い出した気もした皆は息を飲む。
「…すまないクマ。
君のそのモードでやられちゃあ本気で殺されるな…」
「あぁ、めんごめんご、
謝るからその感じだけはマジ勘弁、くまポン」
しかしクマはかなりいきり立っている。
レイですらゴクリと生唾を飲み込んだ。
「おいらに謝ってどーするバカ共が。2人して死んじまえ」
「・・・」
「・・・」
「あのっ、」
「…ごめんなレイ」
「レイごめん…」
2人の言葉は同時だった。
クマの三日月形の目はギロリと光っている。
「あぁ、うん、で?どんな内容の喧嘩だったの?」
その問には、2人ともピクリと眉を動かして目を逸らした。
「…?…え、なに、言えないこと?」
「・・・」
「・・・」
2人は何も喋らなくなった。