第13章 quarrel
「2人とも何してるの!!いい加減にしてよ!!」
やはりそれはレイの呪霊だったらしく、
2人は目を見張った。
というのも、レイは虎の背の上にいる。
「っ!」
夏油が急いで呪霊を退避させようと手を伸ばした時、もうその呪霊の攻撃は彼女に当たる寸前だった。
「「レイ!!!」」
シュパッー……
その攻撃を遮ったのは、かなり遠くにいるクマの技。
その反動でレイの体が吹っ飛んだが、
吹っ飛びながらも放ったピアスの術式によって、夏油の呪霊は攻撃を浴び、動きが鈍くなった。
「トドメだ!!!」
レイが空中で更に仕掛けた術式によってそれは畳み掛けられ、そして完全に動かなくなった。
「…… レイ、君は」
「待って。」
夏油がその呪霊を自分の中へと戻そうとした瞬間、レイの手に遮られる。
レイはその呪霊をたちまち球体にし、一瞬で飲み込んでしまった。
「っ!な……」
「私が勝ったんだからもう私のもの。
返さないからね!」
目を見開いて言葉を失っている夏油の後ろで、盛大に噴き出している五条がいる。
「…何があったのか説明してよ……」
2人を鋭い目付きで睨むレイに、五条がてくてくと近寄りながら言った。
「いやさー、意味不明なんだよこいつが。何度も嘘だって説明してんのに。なのにさー、」
「悟…ふざけるのも大概にしろ。言っていい嘘と悪い嘘がある。冗談も嘘も、いつもろくに扱えないようだな。なにもかもが人としてナンセンスだ。」
ため息を吐く。
思っていたよりもくだらなそうだ。
「あのさ…2人とも…」
声をかけるがまだ口喧嘩をしている。