第2章 call■
浜松観光を終えて、今夜泊まるホテルに到着したのだが、それが予想外すぎて驚愕した。
ホテルのことは五条に任せっきりだったのだが、星いくつか付いているらしい豪華で立派な所を選ぶとはさすがというか、なんというか…
「あー、夜蛾の名前で2部屋で予約したんだけどさぁ、3部屋に増やせるー?」
冥冥と歌姫も急遽泊まることになったのはいいが、不良のような若僧に馴れ馴れしくタメ口を使われているフロントの人の心中を察するとなんだか可哀想だ。
しかし、やはり星のついたホテルと言うべきか、ホテルマンは顔色一つ変えずに丁寧に対応してくれて、豪華な部屋に案内してくれた。
組み合わせはもちろん、
五条と夏油、硝子とレイ、冥冥と歌姫。
だと思っていた。
「おいおいおいおい、違うだろレイ。
はい、そっち。んで俺がこっち。」
「はぁあ?!」
硝子と部屋に入ろうとしていたら突然背中を押されて隣の部屋の前に立たされた。
すなわちそれは、夏油と同じ部屋ということだ。
「な、な、え?!硝子はどうなるの?!」
「そりゃ俺と同室だろ。」
「ダメだよそんなの!ねぇ硝子!」
しかし硝子は満更でもない様子で笑っている。
「私は別にいいよ?まさかこいつと私の間に何か起きるとでも思ってんの?」
「そうだよ。俺がタイプでもねぇ女に手を出すわけがないだろ」
その言葉は失礼極まりないのだが、硝子は私だって!と言いながらもそそくさと部屋に入っていってしまった。
唖然としたまま誰もいなくなった廊下で固まっていると、夏油に腕を引かれた。
「ほら、入るよ」
「っえ。いいのかな…」
「あいつらの心配より自分の心配をしたら?」
声を出す暇もなく部屋に押し込まれた。
かと思えば瞬時に抱きすくめられ、持っていた荷物を落とす。