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walking proud~呪術廻戦~R18~

第12章 nihilism


「私はまだ…1度もレイが泣いているところを見たことがないんだが…彼女はどんな顔をして泣くんだ?」


「……びっくりしすぎて覚えてねぇ。
俺もそんとき初めて見たし。」


はぁ…とため息を吐きながら夏油が結っていた髪を下ろした。
寝そべるのに邪魔らしい。


「幸せ…か……」

艶のある黒髪をパサッと振り払った後、
夏油がポツリと言った。


「うん。」

「レイは今、幸せなんだな。」

「らしい。幸せの絶頂…らしい。」

「ならよかった。」

柔らかい声色でそう言って、髪を上にかきあげる夏油の方に、寝そべったまま向き直って五条は真剣に言った。


「 聞け、傑。
…俺はその涙を拭いてやれなかった。
なぜだか分かるよな? 」


夏油の顔が向き、互いのサングラスの奥がぶつかり合う。
視線が見えないけれど、交わっているのが分かる。


「それは傑の役目だからだ。」




フッと口角が上がった親友は、

「分かっているよ。どんな涙でも……」

そう一言言った。



「そうだ。どんなに俺がそれを拭いてやりたくても、それは俺の役目じゃない。俺にはもっと別の役目があるからな。」

そう言ってまた前を向いた。
向こう側に広がるどこまでも広い、空。

空ってこんなに青くて綺麗だったっけ。
と今更感じる。

17年間も生きてきたのに、自分は空を見上げたことなんて全然なかった。
いや、全くと言ってもいい。



"余裕があるときに空を見るんじゃないよ?空を見るから余裕ができるんだよ"

そう言っていたレイの
空に……俺は……
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