第12章 nihilism
「それよりさー、ディズニーんときから思ってたんだけどーそのロケットには何が入ってんの?」
五条は目を瞑ったままそう言った。
果たして興味があるのかないのかよく分からないその様子を一瞥してからレイは立ち上がった。
あれから毎日つけているペンダント。
ロケット部分をパカッと開けて、目を細める。
自分と、夏油と棗とクマ…笑顔が映し出されているプリクラ。
「ほら、こーれ。いいでしょ!」
そう言って上から五条を覗き込みながらペンダントを向けると、五条は起き上がって、グイッと顔を近づけた。
「……細かすぎて見えん」
「ひぁあ?!」
腕を引っ張られ、五条に馬乗りとなる形となってしまった。
一瞬のことすぎて驚愕の表情しか浮かべていないレイをよそに、五条は寝そべりながら首のペンダントを手に取り見つめている。
ネックレスを引っ張られているし、ちぎりたくないから顔を近づけるしかなくて、ものすごく変な体勢で息が詰まってくる。
「おー、棗とクマ野郎もいんじゃん。ははウケる」
「ん。そうでしょ。はは……ていうか!
いつまでこの状態でいんの!おかしいから!」
「プリクラとかなんか懐かしくね?
俺、写メ派だからさ〜あんま撮ったことないんよね」
「…いや何派とかなんでもいいからさ、とにかくど」
グルリと体が反転し、押し倒されたのだと気付いた時には五条が自分に覆いかぶさっていて、その美しい顔が目と鼻の先にあった。