第11章 throbbing
外に出てからも、ドキドキしすぎていて興奮状態が引かなかった。
自分の心臓が飛び出してくるんじゃないかと思うほど。
ベンチによろりと座るレイの姿を、さぞ面白そうに写メっている五条に何を言い返す気にもなれない。
「こ…こんなに怖いとは思わなかったよ
真面目に心臓止まるかと思った…」
「レイは掴まるところなかったしね」
「あっはっは!けど絶景だったろー?」
「うん…夜景まですっっごかった。
まぁあれだね、なんか…クセになりそうなアトラクションだね…」
そう言いながら深呼吸して息を整える。
上を見上げると綺麗な星空が広がっていた。
ベンチで夏油と五条に挟まれた瞬間、大きな花火の音が後ろから聞こえ、同時に振り返る。
「なにあれ…」
「あープロジェクションマッピングってやつー?」
「え、やば…すごおおい!」
大きな川を挟んで向こう側。
見たことの無い光景が瞳にギラギラと映り出す。
「おし、これバックに写メ撮ろーぜ」
そう言ってたちまち五条によって何回もフラッシュが光った。
また真ん中が私か…
てか結局一日中この2人と過ごしてしまったけど…
イケメン2人を手玉に取ってる謎の釣り合わない女みたいに思われちゃったかな…?
なんとなく複雑な気持ちになって無意識に髪の毛を弄る。
でも五条の写メには楽しそうな笑顔の3人と美しい背景がきちんと写し出されている。
「ずっと思ってたんだけどさぁ、悟って写メ撮るの上手いよね」
レイのその言葉に、五条はあからさまにドヤ顔をした。
「当たり前だろ〜!だって俺写メるためにスマホ持ってるようなもんだもん。…あ!お前ら2人の写メ撮ってやるよ!」
そう言って突然立ち上がった五条は地面に片膝をついてスマホを構えだした。