第11章 throbbing
レイは呑気な2人を無視して硝子に電話をかけた。
なかなか出てくれない。
不安の表情になるレイに、噴き出しながら五条が言った。
「大丈夫だって。どーせまだあそこで飲んでんだよ。それより早くタワーオブテラー行こーぜ。レイ乗りたがってたじゃん」
「今なら夜景が綺麗に見えそうだな」
口々に言う五条と夏油を睨みながら、電話に耳を澄ます。
やっぱり出ないか…これはもう行くしかない。
そう思って切ろうとした瞬間、、
«よおー。レイー?»
「くくくくくま!!!!!」
突然のクマの応答に思わず叫んでしまった。
それと同時に、五条と夏油がこちらを見る。
«硝子のスマホが鳴ってるの気づいて出た»
「硝子は何をしてるの?大丈夫なの?!」
«今はこいつ寝てやがる。»
「えええええー!!てかどんだけ飲んでたんだよーもおー!しかもまだそこにいるのっ?…」
すると突然、五条が横からスマホを取り上げてきた。
「おいプー太郎!お前なんっで俺の電話には出ねーんだよ!」
«あ?てめーの電話には気付かなかっただけだろ。だいたい硝子のスマホだろこれ。»
「とにかく俺らは今からタワーオブテラー並ぶけど、お前も来たいんなら硝子を今すぐ起こせ。」
«めんどくせーからいい。お前らで乗ってこい。それまでおいらはここでのんびり飲んでる。»
「…あっそお。じゃー俺ら行くまでそこを動くんじゃねぇぞいいな!」
«指図すんな»
プツッー…
クマの方から電話は切られた。
五条がため息混じりにレイにスマホを返す。
「俺たちで行ってこいって。まぁうるせーのいなくて逆にいっか。」
「もお…大丈夫なのかなホントに…」
「クマ助が潰れてないなら大丈夫だろ。」
そう冷静に言う夏油が、昨日も今日もやはりダントツで呑気だと思った。
よく言えば落ち着いている…のだろうが。