第11章 throbbing
「硝子、お前は分かりやすいぞ。それに、良い奴だと思う。」
ホクロもチャーミングだし。
とクマが付け加えた。
「ははっ、そりゃどーも。
あんたのお陰でホクロがコンプレックスじゃなくなったわ」
はっはっはと笑ってみせる。
クマと飲むのも案外悪くない。
どころか、すげーいいなと思えてきてしまった。
でもさ、たまにあんたも不気味に思うことがあるよ。
と心の中で言う。
「私もあんたは良い奴だと思うよクマ。いつも誰に対しても客観的に見ててね。でも1つわかんないのはさ、あんたは誰の味方なのよ」
新しい酒が運ばれてきた。
それを何食わぬ顔で飲みながらクマはつぶやくように言う。
「おいらは誰の味方でもねーよ。ただレイのことを大切に思ってるってだけだ。おいらの一部分を。」
もぐもぐ口を動かしっぱなしのクマを横目で見る。
言ってることいつもよくわかんないけど、やっぱこいつって可愛いなと思う。
周りが持ち歩いてるあの変なダッフィーだかってやつよりも。
「……あっそう。」
とりあえず一言そう言う。
なんだか少しだけ頭がクラクラしてきた。今日は酔いが回り出すのが早いなと思った。
で、あいつらは楽しんでいるだろうか?
妙な関係性のあの3人は。