第11章 throbbing
「そんときの笑顔もそーだったけどさー、たまに私、夏油の笑ってる顔がこえーんだ。何考えてるかわかんねっつーかさ。」
「そうか?おいらは分かりやすいと思ってるぞ。どっちかっつーと、五条悟の方がわかりづれぇ。」
「えっ!マジ?」
意外すぎてつい声を大きくしてしまった。
ダッフィーではないクマとお喋りしている1人の女性を周りはチラチラと盗み見ている。
「ま、まぁ…確かにね。私も五条のこと心底わかりづれぇって思う。でも夏油はさ、なーんかそれ以上なんだよね。」
冷静沈着なあのオーラとか、すごく優男だけどどこか凄みがある態度とか。
しかもそれは、レイを連れてきてから尚更濃くなった。
以前は五条と勝手なことばかりして明らかに問題児で、私もクズって呼んでいた。
でも、いつしかふざけることも減って、真剣な顔してる時の方が増えて。
五条や自分と喧嘩することも減った。
以前は五条と術式使って喧嘩をし合っていたってのに。
あれはマジで凄まじかった。
今思うと鳥肌モノだ。
でも今は、そんな夏油はどこにもいない。
だから私はますますあいつのことがわからなくなった。
そんな夏油のことを、五条よりも分かりやすい奴だとクマは言う。