第11章 throbbing
「…その頃1度、合コンに連れてったことがあったわ」
「ごーこんってなんだ?」
「ふははっ、それはあの時のレイと同じセリフだね」
思えばあれも、こんな風に暑い夏の日だった。
よく分かっていない顔をしているレイを、他校の友達に誘われた合コンに連れていった。
服装や化粧をそれらしくして大学生とか偽って、酒を飲みまくった。
男性陣は皆お金持ちそうな20代後半くらいで愛想が良くて盛り上がった。
しかしレイだけはめちゃくちゃ控えめで、会話もたどたどしくて、そんな姿が逆に男たちを煽いだのか、かなり話しかけられていた。
レイがお酒の飲み方すら知らないことに、完全に私は失念していた。
いつの間にか、かなりの量を飲んでしまっていたらしく、潰れてしまって…
それに気が付かないほど私は飲んでしまっていて…
で、レイの姿がないことに気が付いて一気に正気に戻ったんだった。
皆に聞いたら、一人の男に連れられて行ったと…。
超焦りまくって、店を出て何度もレイに電話を掛けたけど繋がらなくてまた焦って…
そしたらなぜか、五条から電話が来た。
"おい硝子!お前今どこいんの?"
「どこって……どこだここ…」
"何してるわけ?とりあえず△△駅に来いよ!南口!"
「いや、レイを探してんだよ!いなくなっちゃっ」
"レイはここにいるよ!いーからはよ来い!"
プツッと切れて、急いでそこへ行くと…