第11章 throbbing
「なぁ硝子、お前はレイのことが好きか?」
突然のその質問に、硝子は変なところにナッツが詰まってしまい咳き込んだ。
「ゲホッコホッ…んぐ…は…なにいきなり」
「お前って、レイのなんだ?」
「え、待って。意味わかんない。なんだって…友達でしょ」
クマはむしゃむしゃと生ハムを食べながら窓の外を見ながら言った。
「ただの友達?」
「……フツーに大好きな友達だよ」
「それは親友ってやつか?五条や傑が言うような。」
硝子は骨付きソーセージを齧りながら、クマが見ている同じ場所に視線を流す。
お揃いの耳をつけた制服姿の中高生のような5人組がはしゃいでいるのが見える。
「うん、そだね。親友。ちょー仲良しのね。」
食べていたソーセージが横からクマにひったくられる。
クマはそれを齧りながらまた喋りだした。
「レイは出会ったばかりの頃、どんなだった?」
「んー…そうねー、とにかくめちゃくちゃタジタジだったな。愛想もあんまなくって敬語使ってて。…私は同じクラスに女子が来てくれたのが嬉しくてたくさん話しかけたんだけどさー。」
考えてみたら、あの頃のレイとは別人だ。
いつからこんな感じになったっけ。
「五条も夏油も私も、けっこー頑張ったよ。心開いてほしくてねー。いろいろ連れ回したり…わざと馬鹿やって見せたりさ。」
窓の外を見つめたまま、酒に口をつける。
そういえば…酒といえば…
硝子の頭の中にあの日のことが蘇った。