第10章 dreaminess■
「あ〜やっぱ返信ねーなー。もう寝てる系?早すぎじゃね?」
五条はベッドで上半身だけ起こして大きい枕に寄りかかりながらスマホを弄っている。
「寝てんじゃない?それか……」
隣に寝そべってそっぽを向きながらスマホでシーのサイトを見ている硝子が言葉を濁した。
それを聞いた五条があからさまに口角を上げる。
「ちょっと行ってきていいー?」
「…はぁ…あんたってさぁ、いっつも何考えてんのかわかんないんだけど、一体何がしたいわけ?」
「え?俺ちょー分かりやすいって言われるよ?」
「分かりやすいようでいて分かんねーんだよ。」
つーかどこに酒とか食いもんの一覧表あんの?
とぶつぶつ言いながら硝子はスマホから目を離さない。
「そっかなぁー。俺わかりにくいかな〜」
そう言いながら待受画面を見る。
ミニー耳をつけた全員とクマが映っている。
「わかりにくいってゆーか、あんたはさ、なんだかんだ言って感情と行動が伴ってねーんだよ」
「はぁ?」
「……レイのこと好きなくせにさ。やってることはいつもキューピットなんじゃん」
「え、俺あんなに禿げてねーし腹出てねーよ?」
「バカか!キューピーじゃねーよ!もういいわうぜー」
硝子は心底うんざりしたようにスマホを放り投げた。
五条は肩を揺らしておかしそうに笑っている。
「めんご、めんご硝子!明日酒奢るからさっ!
許してちょんまげ」
「ふっる!」
「いや、聞いてよ。俺さ、空になるって誓ったんだよ」
「…はぁ?意味わかんねーんだけど」
怪訝な顔で仰向けになり、横目で五条を睨む。
「いつどこで、誰と何をしていてもいつも傍で見守ってる存在ってことだよ。」
「・・・」
「空を見ると心に余裕ができんだろ。」
五条はスマホを見つめているはずなのに見ていないような目でそう言った。