第10章 dreaminess■
「きゃはははは!!クマやばーい!雪だるまにしか見えなくなってるよ〜」
泡まみれのクマにザブンとお湯をかけ、ブルブルブルっと毛並みを振って逆立てるクマのせいで盛大に飛沫がかかる。
それに顔を背けながらも、レイと夏油は湯の中にクマを引き込んだ。
笑い声ばかりが浴槽に鳴り響く。
こんなに楽しい入浴は初めてだ。
長い髪を下ろしてそれを手でかきあげる夏油が非常に色っぽくて、ついついチラチラと見てしまう。
モコモコの泡で埋め尽くされているおかげで、互いの裸が全て見えないことが、情欲を抑えるなによりの救い。
しかし当然、ドキドキする鼓動は収まらない。
風呂に浸かりながらも、ガラスウォールのおかげで見える外は絶景で、なんとも贅沢な入浴だと思った。
「ふはぁ〜キレーだなー…」
そう言って窓の外を見るレイの体を夏油が後ろから包み込んでこめかみに口を寄せる。
夏油の熱く甘い吐息が耳にかかってヒクッと身を震わせながらクマを抱き締めた。
「それにしても…隣の2人は何をしているかな…」
やはり気になってしまってついそう呟いてしまった。
「おいらに見に行ってこいとか言うなよ?」
「言わないけどさー」
クマはなんだかんだ言って気持ちよさそうに足を泳がせている。
それがなんとも愛らしくて笑ってしまった。
「それよりレイ疲れてるだろ?
今日は早く寝よう。明日もあるんだし」
「んー眠れるかなー?なんだか明日のこと考えると興奮しちゃって!」
すると夏油はそっと耳に口付けをしながら囁いた。
「じゃあ私が手伝った方がいいか?強制的に寝かせてあげるよ…」
「っ……!」
声を発する間もなく頭を振り向かされ、口を塞がれる。
危うく抱えているクマを落としそうになってしまった。