第10章 dreaminess■
「私ホントに嬉しいんだよ?傑と同じものを感じて、味わって、見て、聞いて、触って、…全部全部、傑と同じがいい。これから先、どこへ行こうと…必死で追いかけて行きたい…」
そう耳元で囁くと、夏油の腕の力がみるみる強まって行った。
「…うっ……傑?…くるしっ…て」
「・・・」
「・・・」
「… レイ…君が一生幸せな人生を送れるように…それだけを考えるようにする…」
「…すっ…」
「それだけを……誓うよ…」
「…っ……」
耳に届いたのは、弱々しくも強い声。
大好きな人から聞こえる鼓動は早くて、伝わる体温はとても熱い。
「おい、傑よ。レイが窒息死するぞ」
クマの冷淡な声に、夏油はハッと気がついたように瞬時に体を解放した。
「ごめん…つい。」
レイが顔を上げると、
そこにあったのは、目を無くして優しく微笑むいつも通りの大好きな顔だった。
「大好きだよ傑…はははっ」
「うん、私もだよ…ふ…」
なんとなく照れくさくてお互い笑い合う。
「ふんっ、イチャつきやがって…」
そう言い捨てて伸びをするクマを夏油が抱えた。
「さぁ、お風呂もう溜まっただろ、入ろうか。
クマ助、君も入った方がいい。今日はだいぶ汚れただろ」
「そうだねクマも一緒に入ろう!」
確かにいろんなものを食べ漁ったり、乗り物に乗りまくっていたクマは確実に汚れているだろう。
「えー…おいらもー?水遊びはあまり得意じゃないんだが…」
「何言ってんの?水遊びじゃなくてお風呂だよ」
「・・・」
2人は顰めっ面のクマを抱えて浴槽へと足を運んだ。