第10章 dreaminess■
「…ん?……あれは…」
妙な呪力を感じてふと外を見ると、帰っていく人たちの中に、一際奇妙な呪霊がくっついている人が見えた。
「だーかーらー、キリがねぇからそういうのやめようって話だっただろが」
祓おうとした瞬間にクマに止められる。
人の多い、そしてディズニーみたいな場所なんかではああいったものをくっつけて歩いている人がざらにいる。
どころか、かなり多い。
確かにそれを祓っていたらキリがないし、自分たちも仕事で来た訳では無いのだから、ということで最初に呪力使うのは一切禁止という取り決めをしたのだ。
「でも…今はもうホテルで休憩中だし。目の前で見えてる人だけでも助けたいな…」
「じゃあ私がやるよ」
突然の夏油の言葉にバッと振り返ると、いつの間にか隣にいて、窓を開けて見下ろし始めた。
「…よく見ると結構いるね。あっちにもこっちにも…
さすがディズニーだな…」
夏油は視線をぐるぐる走らせながら冷静な声色で言った。
「ディズニーリゾートじゃなくて呪霊リゾートだな!」
クマは心底面白そうに笑って言うのでレイはパシンとクマの頭を叩く。
確かに、あちこちの人間に小さいのが取り憑いているのが見える。
「私が一気に片付けるから見ていて。」
そう言うレイを夏油が止める間もなく、レイは自分の中の呪霊を引き出した。