第10章 dreaminess■
「ねぇねぇ!傑〜!お風呂ジャグジーだよ!しかも泡風呂の入浴剤もある〜」
ブランド物のアメニティを手に取っては目を輝かせていたレイが興奮気味に声を上げる。
「そう、なら一緒に入ろうか」
「…えっ…一緒に?」
「うん、やだ?」
にっこり笑ってそう言われ、ドキドキと鼓動が波打つ。
一緒にお風呂なんてなんだか恥ずかしい。
今まで散々裸を見せあってきたとはいえ、それとこれとはなんだか話が別な気が…する。
「…えっと……」
「かして。お風呂溜めてくるから。」
レイが持っていた入浴剤をパッと取り、夏油は浴槽の方へと行ってしまった。
なぜ傑自身はそんなに平気な顔をしているのだろう?
自分の方がおかしいんだろうか?
でも…恥ずかしいけど嬉しい。
さっきからクマは本日何杯目かのポップコーンを食べながらレイのスマホをいじっている。
今日撮った写メを見ているのだろう。
たまに肩を震わせている。
レイはソファーに座って足を伸ばす。
「あ〜やっぱさすがに疲れたなぁ〜でもほんっと凄かったぁ…こんな国があっただなんて初めて知ったよ。」
「人間はすげぇよな。こんなものまで作れちまうなんてな」
意外にもクマが真面目な言葉を吐くので目を丸くする。
けれど、確かにその通りだ。
人間は、どこまでも崇高で、そして愚かで、残酷だ。
自分たちの利のためならば、自然も動物も、人をも躊躇なく投資するのだから。