第10章 dreaminess■
「ねぇ、それで…硝子はどうなの?
恋愛はしてきたの?」
そういえば、あまり聞いたことは無かったと思って、この際だから思い切って聞いてみる。
硝子はボーッと前を向いたまま喋りだした。
「…あー…何人か付き合ったけどね。まぁ、結局続かないよね。しかもこっちも長く続ける気はさらさらないし。だから私はさー、もう遊びでしか付き合わない事にしたんだよ〜めんどくさくねーし、後腐れなくていいじゃん?」
その発言には何も言えなくなってしまった。
「誰かを本気で好きになったり、本気で好きにならせたくないんだよ。」
その気持ちはものすごく分かる。
自分が死んだら、相手の人生を変えてしまうし、
相手が死んだら、自分の人生が変わってしまう。
それは本気であればあるほどに。
現実から目を背けたくなったり、やらなきゃならないことがわからなくなったり、本当のことが見えなくなったり。
自分の気持ちも相手の気持ちも、結局は大切にできない状況になりそうな気がして。
でも呪術師同士だったら…
いや…結局同じか。
だって互いの運命なんていつも危険にさらされている。
本気で好きな相手が、突然いなくなった時、
正気でいられる人なんていないだろう。
それでも愛に縋ってしまう私は弱いだけなのかもしれない。